Book Reviewing Globe 366
インドと米国が衝突する時
2014年11月号
The Blood Telegram
Nixon,Kissinger,and a Forgotten Genocide
Gary J.Bass
Alfred A.Knopf
2013 $30.00
二十一世紀前半の国際政治の帰趨が、米中関係の行方によって決まるとすれば、後半は米印関係の展開によって左右されることになるだろう。そして、その際、民主主義国としてのインドの外交政策がグローバル・ガバナンスに大きな影響を与えることは間違いない。
インドの民主主義的価値観を押し立てた人道的介入外交は、一九七一年三月のパキスタン軍による東パキスタン(西ベンガリ)での流血の弾圧を制止するための軍事行動に示されている。虐殺は何週間も続いた。合計一千万人がインドに難民として流れ込んだ。当時、米中央情報局(CIA)は犠牲者は二十万人を超える、と推測した。
インドでは右はヒンズー民族主義者から、左は社会主義者、共産主義者までベンガリ支援の国民運動が広がった。インドのベンガリ族は、東パキスタンのベンガリ族を救え、と最前線で国民に働きかけた。インドは中国と違い、国民の声と圧・・・