「宏池会」を多用する安倍の魂胆
谷垣・宮沢はリベラルを貫けるか
2014年11月号
タカ派宰相の自家薬籠中の物となるのか、それとも、獅子身中の虫となるのか。女性閣僚二人の同時辞任を受けて経済産業大臣に起用された宮沢洋一と、自民党幹事長就任から二カ月の谷垣禎一の動向が注目されている。元総理大臣・宮澤喜一の甥にあたる洋一も、谷垣も、自民党リベラルの牙城、宏池会出身で、党内最右派の総理大臣・安倍晋三とは、政治理念で距離がある。経済・財政政策でも、二〇一五年十月に消費税率を予定通り一〇%に上げるべきだと主張してきた洋一、谷垣と、先送りに含みを残す安倍には溝がある。溝が深まれば、消費増税や衆議院解散・総選挙の時期のみならず、自民党の政党としての姿も左右するとの見方が広がっている。
「反安倍」勢力の「ガス抜き」役
十月二十日、安倍に入閣を要請された洋一は「攻守が代わってしまった」と応じ、自民党税制調査会の幹部として「恒久財源なき法人税減税」を阻止する立場から、これを推進する役所のトップになる巡り合わせを自嘲した。
同じころ谷垣は、洋一の入閣について、「党にとっては痛い」と漏らした。野党の総裁として、社会保障改革と消費増税で財政再建を進めるとし・・・