「CO2削減」から逃げ出すドイツ
幻想に終わった「環境先進国」
2014年11月号
二〇一四年は「気候変動」の節目の年だ。今春、〇七年以来となる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第五次評価報告書が承認された。十二月上旬には南米ペルーで「国連気候変動枠組条約第二十回締約国会議(COP20)」が予定されている。COPとIPCCには直接の関係はないとされるが、実際にはIPCCの報告を基にCOPの流れは決定づけられる。今回の評価報告書の内容は、第四次までと大差はない。地球温暖化は人為的に引き起こされ、その最大の戦犯は二酸化炭素(CO2)であり、早急に排出を削減すべきというものだ。
今、この「温暖化二酸化炭素主因説」が大きな曲がり角に立っている。学術的な「懐疑論」が台頭していることが原因ではない。「二酸化炭素派」の旗振り役であり牙城ともいうべきドイツが、こっそりとその役回りから退場しようとしているからだ。
増加に転じた排出量
「ドイツが環境先進国であり、再生エネルギー利用のモデル国家だというのは大嘘だ」
英国の気候研究者はこう非難する。〇九年、第二次メルケル連立政権が発足した時点で、脱原発政策を大きく転換。三十二年間とされ・・・