バフェット帝国の「跡目」は誰か
米経済を揺るがす「重要人事」の行方
2014年11月号
天才投資家ウォーレン・バフェットが一九六五年から六九三・五一八%のリターンをあげて築き上げたバークシャー・ハザウェイ。今やその時価総額は三千三百四十四億ドル、トヨタの一・七倍である。コングロマリット化を進める現在の従業員数は三十万人を超えた。だが、同氏も八十四歳。相棒のチャーリー・マンガーも九十歳だ。誰にも訪れる「その日」は迫っている。この十年、特に直近三年ほどは、バフェットの後継者探しの報道が過熱し、様々な臆測が飛び交い混乱してきた。そこで、本稿ではこの問題を整理しつつ、改めて推測をしてみたい。
バフェット自身が毎年書いて送る「株主への手紙」。その膨大な書簡を遡っていくと九〇年版に次のような箇所がある。
「彼女(別居中の妻スーザン)は私の後継者管理に対する考えを知っており、同意している(中略)当社の事業と幹部たちは、私の健康(は良好だが、と付け加えよう)に依存してはならない、と私は強く感じている。私はそれに応じて計画を立てた。私の資産計画も妻のそれも、家族を守るためではない。バークシャーの個性を維持し、社会に富を返すためである。もし、明日私が死んだとしても、皆さんは次の三・・・