トヨタが危うい「コスト削減」に邁進
魅力ある自動車が造れなくなる
2014年11月号
かつてライバルたちがその絶頂期にはまった「落とし穴」に、トヨタ自動車も足を取られようとしている。車台共通化と部品のモジュール化によって生産コストを下げる「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」がそれ。一九九〇年代に米国で提唱されたこの生産方式が米フォード・モーターや同社の支配下にあったマツダをはじめ、多くのメーカーに販売不振をもたらしたのは「業界の常識」だ。にもかかわらずトヨタだけでなく、独フォルクスワーゲン(VW)や仏ルノー・日産自動車連合などの有力メーカーがこぞって邁進している。メーカーの思惑通り自動車製造の新たな時代を切り開くのか、それとも歴史は繰り返すのか。
「章男社長は系列軽視」
「TNGAで商品力向上と原価低減という二律背反する目標を同時に達成できる」とトヨタの開発責任者は胸を張る。TNGAではトヨタ車をAゾーン(スポーツ車)、Bゾーン(量販車)、Cゾーン(商用車)、Dゾーン(新コンセプトや技術を提案する次世代車)の四ゾーンに分類。各ゾーン内で車種間の部品やユニットを共通化する「グルーピング開発」により原価低減を図る。
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