森トラスト「雅叙園」買収の不可解
「高値拙み」に飛び交う揣摩臆測
2014年11月号
一体、ウラに何が潜んでいるのか―都市開発大手の森トラスト(東京・港区)による目黒雅叙園の一千三百億円買収劇を巡り、不動産業界関係者らの間でしきりと揣摩臆測が飛び交っている。
「どんなに甘い資産査定をしたとしても物件としての価値はせいぜい一千億円。それに三百億円も上乗せするなど気違い沙汰。よほど、特殊な事情でもない限り、手が出せるようなシロモノではない」(準大手デベロッパー幹部)とみられているからだ。
目黒雅叙園はJR山手線や東京メトロ南北線の目黒駅から徒歩三分という至近に立地する、オフィスビル、ホテル、結婚式場などからなる複合施設。域内には一九三五年(昭和十年)に建てられた木造建築で東京都の指定有形文化財の「百段階段」もある。敷地面積は約三・七万平方メートルと「表参道ヒルズ」の六倍以上。オフィスビルにはアマゾンジャパンやウォルト・ディズニー・ジャパンなどの著名外資系企業も入居し、総延べ床面積は十五万平方メートルにもおよぶ。
とはいえ、千代田・港・中央などいわゆる都心五区内の優良物件などと比べれば「所詮は目黒」(金融筋)。資産価値が見劣りするのは否めない。それにオ・・・