住友商事「巨額損失」の真因
「資源素人」が再び落ちた泥沼
2014年11月号
住友商事が再び資源で躓いた。米テキサス州で開発していたシェールオイル事業の投資回収が見込めなくなったとして、一千七百億円の減損損失を二〇一五年三月期決算に計上する。同時に公表したブラジルの鉄鉱山、豪州の炭田開発なども合わせた資源関連損失は合計二千七百億円に達する。一九九六年の銅地金投機の失敗による二千八百五十億円の損失の記憶も消えないなかで、住商で資源がらみの失敗が続くのはなぜか?
米国で始まった「シェール革命」は天然ガスが先行した。ペンシルべニア州など北東部やテキサス州などで頁岩(シェール)層から非在来型の天然ガスが商業生産できるようになり、米国の天然ガス生産はロシアを抜いて世界トップに復帰した。
住友商事は、商社としてはいち早く米国のシェールガスビジネスに取り組んだ。〇九年にテキサス州のバーネット地域、一〇年にペンシルべニア州マーセラス地域で立て続けにプロジェクトに参加。マーセラス地域で生産したシェールガスをメリーランド州コーブポイントの液化天然ガス(LNG)基地で液化し、東京ガスなど日本向けに輸出する計画の実現にこぎ着けた。
これは米政府の出したLNG輸・・・