「陰謀」渦巻く香港と台湾
米中「代理戦争」に揺れる島々
2014年11月号
超高層ビルの立ち並ぶ香港に、蜃気楼のようにバリケードが出現した。「真の民主選挙」を求めて市民、学生が大通りを占拠して座り込む。「愛と平和の占拠」という建前だが、香港返還から十七年目で起きた反中国の実力行使だ。
やがて警察が排除に出ると、激しい抵抗のデモに変わった。警察も初めて催涙弾を使用、デモ隊が雨傘を広げて防いだので「雨傘革命」の名が付いたが、中国共産党の機関紙「人民日報」は、すぐに「動乱」「カラー革命」と断定した。
軍の出動も辞さない
中国は数年前からこのデモが起きることを予知していた。「カラー革命」とは二〇〇四年、ウクライナのオレンジ革命以降、旧ソ連圏各国で起きた反ロシアの政治運動のことだが、米国が陰に陽に支援した。ロシアや中国では「CIAの陰謀」と同義語だ。
「香港には今、世界中の陰謀グループが集まっている」「占拠運動は、米国中央情報局(CIA)と、香港独立勢力、台湾独立勢力が画策した陰謀だ」と「大公報」など中国系の香港紙は書き立てている。
占拠運動の規模が広がっていた十月上旬、中国の汪洋副首相がロシアを訪問して「香港はカラー・・・