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社会・文化

「技術立国ニッポン」に迫る落日

「ノーベル賞」が糊塗した惨めな実情

2014年11月号

 青色発光ダイオード(LED)のノーベル賞受賞に沸く日本。だが、この先も毎年のように受賞者が出てくるかといえば、悲観的にならざるをえない。産業界にも研究機関にも「次の芽」が見当たらなくなりつつあるからだ。特にこれまで「技術立国・日本」を支えてきた中小企業が急速に活力を失い、産業界全体の技術開発力が著しく低下している。その最大の「戦犯」は大企業だ。 大企業による搾取と盗用  二〇一四年のノーベル物理学賞に、青色LEDを実用化に導いた赤﨑勇名城大学大学院終身教授兼名古屋大学特別教授、天野浩名古屋大学大学院教授、中村修二米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の三人が選ばれた。受賞を受けて下村博文文部科学大臣は「三氏の受賞は、わが国の学術研究の水準の高さを世界に示すもの。国民にとって大きな励みと誇りを与える」と手放しで喜んだ。  しかし、「今後はこのような僥倖に恵まれることはなさそうだ」と工学系の先端技術に詳しい専門紙記者は指摘する。最大の懸念材料は、意外にも中小企業の弱体化だという。「青色LEDは当時、中小企業だった日亜化学工業が実用化に成功した。ノーベル賞・・・