官邸VS財務省「秋の陣」開戦
「消費再増税」で包囲される安倍
2014年10月号
「ひょっとしたら戦後最大のバトルが始まったのかもしれません」―。ベテランのエコノミストがこう語る。「バトル」とは、言うまでもなく首相安倍晋三が蟠踞する首相官邸と最強の官僚組織である財務省との激しいせめぎ合いだ。法律通り来年十月から消費税率を現行の八%から一〇%に引き上げるかどうかについての決着の時期が近付いているからだ。
安倍が明らかにしている判断の時期は、七―九月期の国内総生産(GDP)改定値が出て、年末の来年度予算編成の直前に当たる「十二月上旬」。このため安倍は「ニュートラル(中立)」との立場を堅持してきた。四月からの五%から八%への引き上げの結果、四―六月期のGDPの改定値は年率マイナス七・一%となった。これは二〇一一年の東日本大震災直後のマイナス六・九%をも超える下落率だ。
消費税率引き上げ前の駆け込み需要に対する反動と見られたが、その後も消費を中心に景気回復の足取りは鈍く、再増税について慎重論が台頭してきた。実は表向きは「中立」で安倍と平仄を合わせる官房長官菅義偉は「引き上げ先送り」の急先鋒の一人だ。
「上げないことを考えないといけない。もともと消費税を・・・