Book Reviewing Globe 365
米海軍に空洞化の危機
2014年10月号
Mayday
The Decline of American
Naval Supremacy
Seth Cropsey
Overlook Duckworth
2013
オバマ米大統領は、イラクとシリアをまたぐスンニ派原理主義集団による「イスラム国」の挑戦に対して「米国はまだ戦略を持っていない」と告白したが、その後、彼らの拠点への空爆を決定、米国は再び中東への軍事介入に前のめりになりつつある。自制外交を旨とするオバマ政権も米国人ジャーナリストの処刑ビデオに対する国民の激高を無視できない。
そのあおりで、アジア太平洋地域重視のリバランシング戦略が、またまた足踏みを余儀なくされている。なかでも、米国の海軍力のクレディビリティー(信頼性)の低下の恐れに警鐘を鳴らしたのが、元米海軍長官が著したこの本である。
現時点での米国の艦船は二百八十六隻。レーガン政権のときの半分以下である。これは第一次世界大戦以来、最小の規模である。
二〇一一年二月、リビアの動乱に当たって、米政府は米国民の撤退・救出作戦を実施したが、その際、ギリシャのフェリーを急遽、調達・・・