経団連「政治献金再開」の無節操
財界の「公然賄賂」が政策を歪める
2014年10月号
出す方も貰う方も、「民主主義のコスト」「健全な民主主義のため」と、ことさらに強調する。紋切り型の言葉の繰り返しに、欺瞞がにじむ。政治献金の呼びかけを五年ぶりに再開すると決めた日本経済団体連合会(経団連)と、献金を受ける自民党が発した正当化の理屈である。
経団連が九月十一日に公表した「政治との連携強化に関する見解」は、加盟一千三百社に促す献金先を「日本再興に向けた政策を進める政党」とした。これが「日本を取り戻す」と訴える安倍晋三首相率いる自民党を指すことは、経団連会長の榊原定征が九日に党幹事長の谷垣禎一を訪ね、内容を説明したことからも明らかだ。
決定を支持する立場からは、献金元、献金先、金額が公表される企業献金の方が、透明性が高いから良いという声が出る。ただ、それだけで決定を正当化するのは、無理がある。
自民党との接近演出は「滑稽」
自民党結党から、日本が経済大国の地位を確立する一九八〇年代までの経団連の政治献金への関与は、経済成長を効率的に図るうえで、政権党と財界が密着することが都合の良い時代の象徴でもあった。政府・自民党は対外的には関税や・・・