ホンダがタイ事業で「深傷」
新工場建設「中止」で手痛い大損
2014年10月号
ホンダのタイ事業が崖っぷちに立たされている。今年上半期のタイ国内の販売台数は、昨年同期比六四%減と一人負けの惨敗状態。市場の冷え込みで各社とも苦戦が続くが、首位のトヨタ自動車やいすゞ自動車はともにマイナス三〇%程度と、傷口はそこまで大きくない。ホンダの場合、その痛手は販売だけにとどまらないから深刻だ。肝いりで進めていた東部プラチンブリ県での新工場建設が「事業不振」を理由に突如ストップし、再開のめどすら立たない状況にある。「ホンダの凋落」が現地自動車各社の幹部らの間で口々にささやかれ、日本、米国、中国に次ぐ世界四大生産拠点のタイで、ホンダの危機が鮮明になりつつある。
五位転落は確実
「タイ・ホンダの生産現場にはもはや覇気がない。毎日が暗い葬式のようだよ。立て続けに二度もあった販売目標の下方修正が士気の低下を招いている。タイミングも極めて悪かった。どうして、あんな時期にわざわざ公表するのか、経営センスを疑うよ」。ホンダのアユタヤ工場に長年、部品を納入し続けてきた部品メーカーの幹部は声を曇らす。
今年五月二十二日、ホンダはフルモデルチェンジした小型車「ジャ・・・