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社会・文化

名画「東方三博士の礼拝」を読み解く

ボッティチェリ「最晩年の作品」が来日

2014年10月号

 この秋、ウフィツィ美術館所蔵ながらいつもは展示されていない《東方三博士の礼拝》が来日するという。ボッティチェリの《東方三博士の礼拝》は、今日、ロンドン・ナショナルギャラリーに二点、ワシントン・ナショナルギャラリーに一点、そしてフィレンツェのウフィツィ美術館に二点残されている。ウフィツィ美術館にある二作品のうち一点は、有名な《ラーミ家の東方三博士の礼拝》といわれる作品である。  ボッティチェリことアレッサンドロ・フィリペーピ(フィレンツェ、一四四五?― 一五一〇)については、日本でもすでに数多くの研究書や画集が出版されているため、その人となりや作品の概略を知るには十分すぎるほどの情報が溢れている。しかし、研究者にとっては、実は非常に厄介な画家である。 重層的で波乱に満ちた時代の画家  ボッティチェリが活躍した時代、すなわち十五世紀後半のフィレンツェは、歴史事件にせよ、美術史上の動向にせよ、重層的で混乱に満ちている。一般的には共和制を維持しながらも実質的な君主として実権を握ったメディチ家の華やかな時代と理解されるが、外交的には難しく、メディチ家が経営してい・・・