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WORLD

「思考停止」の英国外交

米国もEUも見放す無能ぶり

2014年10月号

 スコットランド独立を問う住民投票で、世界中を騒がせた英国が、外交力をすっかり失っている。最大の同盟国米国では、キャメロン政権が国内統治に加えて、欧州連合(EU)政策でも漂流していることに、「世界の喫緊の課題に目が向いていない」との見方が強まっており、英国は米国からも、欧州大陸からも見放される危機に瀕している。 米英共闘のパターンが消えた  住民投票にこれだけ介入されたら、スコットランド民族党(SNP)ならずとも、「内政干渉だ」と言いたくなるだろう。オバマ大統領は投票直前の九月半ば、ツイッターに「独立賛成に投票しないで」と書き込んだ。ホワイトハウスの報道官、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長、オーストラリアのアボット首相と、世界中の同盟国・機関の首脳が「独立はダメ」と声を上げた。  オバマ大統領の劇的な介入が、米国の純然たる懸念から出たものか、追い込まれたキャメロン政権が援護射撃を頼んだものかは不明である。だが、米政府が「特別なパートナー」(オバマ大統領)の行く末に深刻な懸念を抱いていることは確かである。 「中東情勢の緊迫化、ウクライ・・・