ヒラリーは大統領選「不出馬」に
「女性初」を阻む六つの壁
2014年10月号
二〇一六年米大統領選の民主党候補の大本命、ヒラリー・クリントン前国務長官に、「不出馬の決断を下す」との観測が出ている。十一月四日投票の中間選挙で、民主党が大敗した場合に、「民主党候補指名を獲得しても勝てない」と判断する可能性が浮上しているからだ。クリントン陣営には、有権者のムードなど六つの壁がある。
九月中旬、全米で最初の党員集会(コーカス)の舞台であるアイオワ州に、ヒラリーが登場し、大統領選出馬について「考えている」と初めて語った。彼女は、この問題を芸術的と言えるほど巧みに避けてきただけに、世界のマスコミが「いよいよ始動」と報じた。
この舞台裏では、今期で引退する同州選出のトム・ハーキン上院議員が、意味深な話を地元メディアに語っていた。今年で七十五歳になる民主党リベラル派の重鎮は、「二人で話した」上での印象として、「(不出馬でも)驚かないよ。決断は彼女自身が下すもので、今は懸命に考えているようだ」と述べ、ヒラリーはなお迷っていると語った。ハーキンは一九九二年の大統領選で、彼女の夫ビル・クリントンと民主党候補指名を争ったことがあり、クリントン一家とは長年、緊密な親交を・・・