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印モディ政権が抱える「時限爆弾」

「ヒンドゥー至上主義」が招く宗教対立

2014年10月号

「私はナショナリストだ。私は愛国的だ。何も間違ってはいない。私はヒンドゥーとして生まれた。そう。あなた方は私をヒンドゥーナショナリストと言っていい」  五月の下院総選挙圧勝後、インドのモディ首相は記者団にこう語った。新たな右派政権の誕生によって、当然これまでにない新たな問題が起きる。ヒンドゥー至上主義であるインド人民党(BJP)政権そのものが、「インドの国是」である「世俗主義(≒政教分離)」と矛盾するという根本的な問題だ。 全土で百三十万人が「突撃隊」  例えば、九月のモディ首相訪日の際、日本では全く報じられなかったことが、インドでは大問題になった。事の発端は、滞在四日目、モディ首相が天皇にヒンドゥー教の教典「バガバッドギーター」を贈ったことによる。 「自身の党によって宗教対立が高まっているこの時に、首相が外国の地で世俗主義を嘲るとは、衝撃だ。容認できない」。野党の国民会議派は首相を激しく非難した。当のモディ首相も滞在中「この後、インドに帰って何が起きるか見当がつかない。〝世俗的な友人〟(左派)との論争を招くだろう」とインド紙に語っている。 ・・・