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イスラム国の次の狙いは「サウジ」

テロ集団の攻撃に怯える王族たち

2014年10月号

 米国のオバマ政権が「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」への攻撃をシリアに拡大する中で、ISISは次の狙いをサウジアラビアに定め、攻撃を始めた。サウジアラビアにすれば、シリア内戦でさんざん軍資金をつぎ込んだ末に、とんでもない怪物を作り上げてしまった格好で、王家は米国に助けを求め、国境警備を強化するなどパニックに陥っている。  サウジ駐在の外交官にとって、政府高官と会うのは至難の業だ。政府中枢の王族は高齢や病弱で、容易に客を受け付けない。八月末、九十歳のアブドゥラ国王自らがリヤド駐在の大使を一堂に集めたのは、指導者の肉声を聞く貴重な機会だった。  国王は満を持して、大使たちに警告した。「(ISISは)一カ月で、ヨーロッパに到達する。翌月にはアメリカだ。それは間違いない」とした上で、「この者どもは、人間性という言葉を知らない。人間の首を切り取り、子供たちに与えている」と、重々しく言い放った。  サウジの国王は、国難に際し必ず米欧を頼る。アブドルアジズ初代国王は、米英人顧問に国家建設を習った。聖地メッカのモスク占拠事件(一九七九年)では、フランスに救援をあおいだ。九〇・・・