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経済

《クローズ・アップ》峰岸真澄(リクルートホールディングス社長兼CEO)

株式上場でも拭えぬ「停滞感」

2014年10月号

 人材関連サービス最大手、リクルートホールディングスが十月十六日、東京証券取引所に上場する。IPO(新規公開)価格は同月六日に最終決定するが、現時点の前提は一株当たり二千八百円。このままいけば、上場時の時価総額は約一・六兆円となり、今年最大のIPOとなる。過去五年間を遡ってみても、二〇一〇年四月の第一生命保険(一・六兆円)に匹敵する大型上場で、東証一部全体の時価総額ランキングでも六十位前後につけそうだ。

 上場に当たって同社では公募増資や自己株の売り出しなどで最大一千億円を調達する。また発行株の五・二六%を持つ四位株主の三井物産や野村信託銀行なども保有株の一部を放出する予定。リクルートは調達資金を人材情報・派遣など国内既存事業の競争力強化に向けたシステム投資や海外を含むM&Aなどに振り分ける計画だ。

 もっとも上場を果たすとはいっても、ビッグディールに沸き立つ投資家らが期待するほどには、現時点でエクイティ・ストーリーが明確に描けているわけではなさそうだ。一五年三月期の業績予想をみても、売上高こそ一兆二千九百億円と前期比八・三%の伸びを見込んで・・・