三井物産が 資源開発で「大誤算」
リスクまみれの投資に灯る「黄信号」
2014年10月号
三井物産がのめり込んでいるアフリカと南米における巨額の資源開発に暗雲が垂れ込めている。
東アフリカのモザンビークでは、物産が参画する鉱区から今世紀最大の天然ガス田が発見されたことで、一時社内は沸き立った。さらにブラジル沖の深海部でも巨大油田が発見される。ここまでは万々歳であった。
しかし、これらの案件には大事なものが抜け落ちていた。天然ガスの方は、肝心要の買い手すら決まっていない状況なのだ。ブラジルの油田についても経済産業省幹部が「物産は、深海部油田開発のリスクのイロハも知らずに無謀な賭けに飛び込んで、嬉々としている」と苦言を呈す。過去にも資源関連投資で失敗を繰り返した物産だが、その教訓は生かされていない。巨大プロジェクトへの展望なき傾斜が、経営の足かせとなるのは避けられない様相だ。
安値で買い叩かれる可能性
モザンビーク沖、水深二千メートルの深海部鉱区。物産は二〇〇八年から二〇%の権益に参画している。周辺鉱区全体で、可採埋蔵量百兆立方フィートという、日本の液化天然ガス(LNG)消費量の二十年分以上に相当する天然ガス田が発見された。
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