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連載

Book Reviewing Globe 364

日中関係〝深層凍結〟の理由

2014年9月号

今月の一冊 Sino-Japanese Relations After the Cold War:Two Tigers Sharing a Mountain Michael Yahuda Routledge 2013  二〇一二年五月以降、日中間では首脳会談は行われていない。  何が、日中関係をここまで悪化させたのか。  一九八〇年代前半、日中関係は黄金時代を謳歌した。ただ、後半は、胡耀邦失脚(一九八七年)と天安門事件(八九年)がのしかかり、視界が曇った。  九〇年代。ソ連の崩壊後、中国にとって対ソ戦略上の日本の戦略価値が薄れる一方、逆に日本の超大国化への警戒感が生まれた。  九五、九六年頃を境に、日中関係がきしみだした。一つは中国の核実験。日本は七千六百万ドルの対中無償援助を停止、抗議した。中国は怒った。もう一つは台湾総統選挙を控え、独立派を威嚇するため台湾沖にミサイルを発射したこと。日本は強く反応した。この二つは「対中友好外交の終焉」を告げるものだった。  九七、九八年のアジア通貨危機では、中国は日本を出し抜いて・・・