本に遇う 連載 177
アベノヒュブリス
河谷 史夫
2014年9月号
首相の会話能力を怪しむ。
新聞の「首相動静」によると、安倍晋三は毎晩のように内外各界の誰かしらとの会食に御精励のようだが、はたして実りある会話ができているのであろうか。
記者会見では常に、発表したいことを一方的にまくし立てるだけで、質問にまともに答えることがない。「ぶらさがり」(とはいやな表現だ)の取材記者に早口で何か言うと、さっと踝を返して、問いかけに応じようとしない。
記者風情と話をするのがお嫌いらしい。好き嫌いが激しそうである。他者と会話をするのがどだい不得手なのかも知れない。会社勤めを少ししたあとは政治家の父親の秘書になって世襲しただけだから、狭くて特殊な政界のことを知るのみであろう。ひと昔前「お友達内閣」と揶揄された第一次政権が挫折したのも当然で、今回はその反省に立っていると見えるが、政治家に必要な、意見は違っても他人の言を聞き、逆に話すべきことは話すという構えに欠ける。
争われぬ地が長崎で出た。
八月九日、首相は被爆者団体代表と会見。毎日新聞によれば、長・・・
新聞の「首相動静」によると、安倍晋三は毎晩のように内外各界の誰かしらとの会食に御精励のようだが、はたして実りある会話ができているのであろうか。
記者会見では常に、発表したいことを一方的にまくし立てるだけで、質問にまともに答えることがない。「ぶらさがり」(とはいやな表現だ)の取材記者に早口で何か言うと、さっと踝を返して、問いかけに応じようとしない。
記者風情と話をするのがお嫌いらしい。好き嫌いが激しそうである。他者と会話をするのがどだい不得手なのかも知れない。会社勤めを少ししたあとは政治家の父親の秘書になって世襲しただけだから、狭くて特殊な政界のことを知るのみであろう。ひと昔前「お友達内閣」と揶揄された第一次政権が挫折したのも当然で、今回はその反省に立っていると見えるが、政治家に必要な、意見は違っても他人の言を聞き、逆に話すべきことは話すという構えに欠ける。
争われぬ地が長崎で出た。
八月九日、首相は被爆者団体代表と会見。毎日新聞によれば、長・・・