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政治

《土着権力の研究》岡山県 伊原木一族

県政財界に君臨する「天満屋」創業家

2014年9月号

 天満屋に逆らうと岡山に住めない―。

 時代劇にでも出てきそうなフレーズだが、岡山県では根強く囁かれる見方だ。

 かつて栄華を誇った繊維産業が廃れるなかで、この地に君臨してきたのが天満屋グループだ。

 ほかの地方から見ればただの「ローカル百貨店」に過ぎず、オリンピック出場選手を抱える「女子陸上競技部」でその名前を知るくらいだろう。

 しかし、中国地方に九店舗ある百貨店以外に傘下にはスーパー、ホテル、ゴルフ場など二十以上の企業を抱える一大コンツェルンを形成している。

「天満屋の伊原木一衛会長は地元で突出した権力を持っている」

 地元政財界に食い込んだ、ある事情通はこう語る。岡山県には地元政財界を牛耳ってきたエスタブリッシュメント・グループがある。中国銀行や山陽新聞社という有力企業メンバーの中でも、天満屋の伊原木といえばだれも逆らうことのできぬ「天皇」だ。

 天満屋のルーツは文政十二年(一八二九年)に備前西大寺(現在の岡山市東区西大寺)に・・・