三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

安倍の治らぬ「支持率病」

政策より「数字」優先の迎合政治

2014年9月号

 自らの政治理念を成し遂げることが目的なのか、それとも、総理大臣の座に長くいたいだけなのか。秋の臨時国会での政府・自民党の政策の優先順位を見る限り、安倍晋三の実態は後者ではないかと思えてくる。  集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を行いながら、直後に内閣支持率が急落したと見るや、関連法案の提出を二〇一五年通常国会に先送りする判断を早々と下したことは、象徴的な対応だ。  実際に集団的自衛権を行使するためには、自衛隊の任務を限定列挙した自衛隊法に新たな任務を書き加える作業以外にも、外国での戦闘も想定した戦時法を含めた立法措置の検討が必要とされる。処理すべき法案の数は多く、その中身は観念論的な憲法解釈論議とは比べものにならないほど生々しいから、ハードルは高い。大方針を決めながら、具体的に実行する仕組みがない状態が長引けば、憲法に改正条項がありながら、その手続き法の制定を長く放置してきた戦後政治の不作為と同じことだ。 表面上の「数字」に一喜一憂  七年前の第一次政権当時も、安倍は内閣支持率の下落とともに迷走を始めた。当時を知る政府関係者は「いわば『支・・・