イラン「密貿易」と腐敗の実態
「制裁逃れ」で肥え太る政権中枢
2014年9月号
イランが核協議で時間稼ぎを続けている。今年七月の交渉期限を四カ月延長させたのに続いて、八月にはザリフ外相が早くも「十一月の交渉期限までに最終合意は無理」と言い出した。背景には、イランが巧妙に制裁逃れを続けていることがあり、イランの指導層は制裁継続でも解除でも私腹を肥やせる仕組みを築き上げている。
今年の夏、ハッサン・ロウハニ大統領の下で最も精力的に動いたのは、ビイジャン・ザンギャネ石油相だった。
八月上旬、ザンギャネは突如モスクワ入りし、アレクサンドル・ノバク・エネルギー相との間で、協力拡大の覚書をまとめ、調印した。イラン産原油をロシアに購入してもらい、代わりに自動車や生活物資の供給を受ける内容だ。
「実質的な国連制裁破りになります。国際的孤立を深めるプーチン政権と、核協議を遅らせるロウハニ政権との、嫌われ者同士の野合です」と、在モスクワ特派員が言う。イランにとっては、仮に制裁解除が遅れても、「ロシア経由」という生命線を確保したことになる。
違法ビジネスが巨大産業に発展
ザンギャネは帰国後、テレビ出演でアフマディネジャド前大統領時代の・・・