韓国カジノの「光と影」
成長産業とは程遠い「賭博場」
2014年9月号
「カジノには光と影がある。光が大きければ多少の影は容認できるだろうが、この国のカジノは影のほうが大きい」
ソウルから東へ約二百キロ離れた江原という町で、ギャンブル依存の取材をした韓国紙記者はこう語る。ここは韓国でも特殊なカジノ・タウンとして知られているが、その点については後述する。
韓国は今年に入り、新カジノ建設に向けた動きを加速している。国内にはすでに十七カ所のカジノリゾートが存在するが、中国人観光客を狙ってさらに拡大させようとしているのだ。しかし、果たして観光振興や税収源として機能するのかと疑問視する声も多い。
今年六月、大規模カジノリゾート建設計画に動きがあった。世界最大のカジノ運営会社である米サンズがソウル特別市当局に対して計画の概要を提案したのだ。中央日報(七月十二日付)によれば、六月末に極秘訪韓したサンズの会長が、ソウル市庁舎で百六億ドル規模の複合リゾートの青写真を示して協力を求めたという。ソウル市が保有する蚕室総合運動場周辺に、コンベンションセンターとホテル、劇場に加えカジノを設置するものだ。ホテルは八千二百室を備えるというが、現在のソウル市内の高・・・