オバマ「弾劾裁判」に現実味
NY市場「急降下」を見越す投機筋
2014年9月号
弱気筋の売りが増えているのに、ダウ一万七千ドルを前後にもみ合うニューヨーク株式市場。「いつ下がるか?」の緊張感が日に日に高まる中で、十一月の中間選挙後に共和党が弾劾裁判で、オバマ大統領を辞任に追い込むとの観測が強まっている。今秋最大のリスク要因はやっぱり「オバマ」だ。
「大手の機関投資家は今やここ数年で最高のキャッシュ・ポジションを持っている。またジョージ・ソロスは売り方オプションを七倍に増やした。ニクソン辞任のウォーターゲート事件を覚えている投資家はみんな一斉に逃げ腰になっている」。ある大手ヘッジファンドの運用担当者はこう打ち明けた。
世界最高の権力者・米大統領を任期途中で辞めさせるには、上院による弾劾裁判で、出席議員の三分の二以上により「弾劾」を決める以外にない。オバマで四十四代となる過去の大統領のうち、弾劾裁判にかけられたのは十九世紀のアンドリュー・ジョンソンと、一九九八年のビル・クリントンの二人だけ。どちらも三分の二に達せず、解任には至らなかった。唯一、リチャード・ニクソンが一九七四年、下院司法委員会が「訴追勧告」を決めた時点で、辞任した。
それほど大変・・・