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経済

《クローズ・アップ》川合克彦(北海道電力社長)

存亡の危機迫る「北の原発王国」

2014年9月号

 かつて北海道経済を担う御三家と言えば、北海道拓殖銀行、JR北海道、北海道電力の三社が不動の地位にあった。だが、バブル崩壊後の金融危機のなかで拓銀が経営破綻して姿を消した。JR北海道は国鉄民営化後、独立経営を続けてきたが、もともと経営基盤は弱く、線路や車両の整備不良、点検データの改竄など相次ぐ不祥事で、もはや〝死に体〟状態。道民にとって今や、北海道電力だけが頼りになる唯一の地元大手企業のはずだった。

 その北海道電力も今、瀬戸際に追い込まれている。福島第一原発事故をきっかけにした原発の稼働停止で、電力会社の多くが燃料コストの膨張に苦しみ、昨年電気料金の本格値上げに踏み切ったが、北海道電力は今年七月末、さらに全国の電力会社の先頭を切って、二回目の値上げを申請した。一般家庭向けで一七%、企業向けで二二・六%という大幅な値上げであり、わずか一年で、一般家庭は約二五%、企業で約三四%もの引き上げとなる。

 当然、道民や企業からの反発は強く、就任三年目になる川合克彦社長(六十二歳)は記者会見から各方面への説明、お詫びなどで「頭を下げるのが仕事」と言われ・・・