シェールオイルでも「ぼられる」日本
同盟国から「荒稼ぎ」狙う米国
2014年9月号
「シェール革命」に沸く米国で、シェールオイルの輸出が始まった。米国はエネルギー安全保障上の理由から原油輸出を原則禁止してきたが、今年六月二十四日に三十九年ぶりに解禁。コスモ石油が八月に米メキシコ湾でシェールオイルを船積みし、十月に三十万バレル相当が日本に輸入される。十月以降は日本の総合商社も乗り出し、毎月五十万バレル程度が日本向けに出荷される。
米国産シェールオイルの価格は中東産の原油よりも一バレル当たり三ドル程度安く設定されるという。原油輸入の八割以上を中東に頼る日本にとっては調達源の多様化につながり、脱中東石油依存への道を開くことが期待される。「シェール革命は天の恵み」(石油業界幹部)とばかりに、日本のエネルギー関係者は歓迎ムード一色に包まれている。
しかし、日本の石油業界のぬか喜びとは裏腹に、密かにほくそ笑んでいるのは、ほかならぬ米国の石油企業だ。
日本は「高値による押し付け先」
米国は原油生産量が、二〇一三年に日量一千万バレルを超え、国際エネルギー機関(IEA)は一五年にサウジアラビアを抜いて、米国が世界最大の石油生産国となると予測し・・・