JFEの勝算なき海外戦略
インド事業で巨額損失の可能性
2014年9月号
「JFEスチールのインド事業は風前の灯にしか見えない」
南アジアのデトロイトと呼ばれるインド東部の都市チェンナイに駐在する、日系商社の鉄鋼担当者はこう語る。
鉄鋼国内二位のJFEの海外事業の雲行きが怪しくなっている。提携現地法人の苦境がそのまま業績を直撃するばかりか、都合よく使い捨てにされる可能性も出ているという。同社の杜撰な海外戦略の膿がたまっている。
提携先との間に「隙間風」
直接のきっかけはJFEの持分法適用会社であるJSWスチールの苦境だ。JSWはインド西部のムンバイに本社を置く高炉メーカー。粗鋼生産能力(年間一千四百三十万トン)は民間としてインド最大を誇る。同社の旗艦製鉄所が南部ビジャヤナガルにあるが、ここで原料となる鉄鉱石が不足し生産に支障が出ているという。JFEのインド事業関係者が打ち明ける。
「JSWが六百万トンもの鉄鉱石を、オーストラリアと南アフリカから輸入しなければならなくなった」
JSWの粗鋼生産能力を考えれば、四分の一近くが足りない計算となる。実際、ビジャヤナガルの製鉄所稼働率はこのところ六〇~六五%に低・・・