「朝日」自滅でほくそ笑む安倍
官邸「報道統制」が進む可能性
2014年9月号
宿敵・朝日新聞の連続した「誤報」騒動による権威失墜に安倍政権がほくそ笑んでいる。朝日新聞の報道が怪しいとなれば、その安倍政権批判にもまた懐疑の目が向けられるからだ。安全保障政策や歴史認識をめぐり、長年にわたって朝日新聞と対立してきた安倍晋三首相にとって、願ってもない機会が到来したといえる。
「それにしても、朝日の慰安婦報道はひどいなあ」
菅義偉官房長官は八月中旬、周囲との雑談の中で、それまでの話題と関係なくこう切り出した。
菅氏が指摘した朝日新聞の慰安婦報道とは、同紙が八月五、六両日付朝刊で大きく紙面を割いた「慰安婦問題を考える」という特集記事のことである。
この中で朝日新聞は、これまで少なくとも十六回取り上げた元山口県労務報国会下関支部動員部長を名乗る吉田清治氏(故人)に関する記事を取り消し、慰安婦と女子挺身隊の混同を「誤用」と認めた。
朝鮮半島で女性を強制連行したとする吉田氏の虚言を朝日新聞が繰り返し大きく報じたことで、根拠のない慰安婦強制連行説が世界に広まり、日韓関係を悪化させた。朝日新聞が本来関係のない慰安婦と女子挺身隊を混同したことが、・・・