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経済

みずほ銀で蘇る 「派閥抗争」の亡霊

「前田復権」で巻き返す旧富士銀勢

2014年9月号

「組織の風通しが悪く、合併の効果も出ていない。意思決定のどこかに問題がある」  今年六月二十四日定時株主総会の決議を経て正式に委員会設置会社へと移行したみずほフィナンシャルグループ(FG)。その取締役会初代議長に就任した社外取締役の大田弘子・元経済財政担当相はしきりにこうぼやいているらしい。  それもそのはず。佐藤康博FG社長兼CEOら現経営陣の背後で、このところ一人の男が「亡霊のごとく蘇りつつある」(FG関係者)のだ。旧富士銀行出身。二〇〇二年にみずほホールディングス(現FG)社長に就任して以来、一〇年四月特別顧問に退くまで、八年超にわたってグループトップの座に君臨し、いまは特別職の公務員である「国家公安委員」の肩書も持つ、前田晃伸・名誉顧問だ。 前田氏の威光にすがる佐藤社長  みずほ銀行(BK)関係者によると「人事上の問題、中でも旧富士出身のOBや現役幹部らが絡む人事となると、かつての子飼いだった役員を通じて必ずと言っていいほど口を挟んでくる」という。それどころか最近では何か問題が起こると「佐藤社長が自ら前田さんの元に日参していろいろと手解きを・・・