底無しの製薬企業「研究不正」
第一三共やファイザーにも「新疑惑」
2014年9月号
医薬品の臨床研究不正は、医学界と製薬業界全体に蔓延する構造的病理であることが明らかになり始めた。
七月、東京地検特捜部が薬事法違反で起訴したノバルティスファーマ社の一件は、文字通り氷山の一角にすぎない。研究データの改竄、効能を偽る誇大広告、名ばかりの「治験」を悪用した患者の囲い込み、製薬企業から医師に贈与される不透明なカネ―。小誌は七月号の武田薬品に関する独自告発などで、臨床研究不正の実態を相次ぎ報じてきた。ところが、取材を進めれば進めるほど、次々に新たな不正が出てくるから、始末に負えない。製薬業界・医療界の不法行為は、業界全体で常態化し、彼らの私欲が、国民のための限られた医療費を食い散らかしているのだ。
SIGN研究不祥事と同じ違反
臨床研究不正に詳しい人物は呆れ顔で嘆く。「インターネットにアップされている情報を見れば、医師主導臨床研究と言いながら、実態は製薬企業の販促活動のようなものがいっぱいあることが分かる」。彼が例として挙げたのが、「三海婦人科癌スタディグループ(SGSG)」と「東北婦人科腫瘍研究会(TGCU)」が行っている臨床研究・・・