中国を襲う「習近平不況」
国内景気「急冷」が世界経済を直撃
2014年9月号
中国の今年上半期の成長率は七・四%と政府目標を〇・一ポイント下回った。八%割れはもはや中国経済の巡航速度だが、数字を操作してでも目標達成する中国で、しかも習近平政権発足二年足らずで成長率の目標未達には違和感がある。新中国始まって以来の最高幹部摘発となった周永康事件や一連の腐敗一掃、綱紀粛正を進める習政権には歴代政権とは異次元の改革の論理が働いている。背景には共産党一党支配の基盤が崩れつつあるという危機感があるが、「体制維持のための改革」が成功した例は少ない。急進改革がもたらすのは世界経済を襲う〝習近平不況〟になりかねない。
「新常態」が示す新しい現実
毎年、政治局常務委員をはじめ中国指導部の夏休みは一連の外遊、国内視察を終えた後の北戴河に始まる。北戴河は北京から車で三時間足らずの河北省の海辺のリゾートで、指導部や引退した大物老幹部が休養をとりながら人事や重要案件について非公式の議論を進める。時に権力闘争の場にもなり、リゾートとはいえ気を緩めることはできない。
周永康前中央政治局常務委員の汚職立件という前代未聞の出来事の余波が収まらないなかで・・・