逆回転始めた「アベノミクス」
政権の寿命縮める「景気沈降」
2014年9月号
「財務省や日銀が発表している景気動向調査は大本営発表になっている」
首相安倍晋三の足元、首相官邸からこんな声が漏れ出した。ことの発端は「マイナス六・八%ショック」と呼ばれる、内閣府が八月十三日に発表した四~六月期の実質国内総生産(GDP)の第一次速報値だ。東日本大震災が起きた二〇一一年以来の下げ幅を記録した。四月一日に税率が八%に引き上げられる直前の駆け込み需要に対する反動によるものだが、一九八九年の消費税導入、九七年の五%への引き上げの時よりも落ち込みが激しい。
「コンビニの売り上げは落ちていない」と述べ、楽観的な認識を示していた官房長官菅義偉は七月下旬になって危機感を募らせる。
「予想以上に数字が悪い」
そこから財務省不信が再び頭をもたげた。
「現実経済は内閣府の発表を遙かに超えるほど落ち込んでいるのではないか」
太平洋戦争当時、戦況が悪化したにもかかわらず大本営は優勢であるかのような発表を繰り返した。転じて、「大本営発表」は都合の良いことしか言わない信用できない情報の代名詞となった。
現に今回の速報値の中身は予想を超えた。消費の落・・・