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政治

集団的自衛権が抱える 「重い現実」

政権がひた隠す不都合な「代償」

2014年8月号

 安倍内閣は連立パートナー公明党の腰砕けにより、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。その陰に隠れる形で、従来は不可能だった「武力行使と一体化」する自衛隊の活動、国連平和維持活動(PKO)での武器使用基準の大幅な緩和など安全保障政策の大転換も潜り込ませている。自衛隊の危険が高まるのは必至だが、首相安倍晋三は「積極的平和主義」を念仏のごとく唱えるだけで、「負の側面」を語ろうとしない。「普通の国」に近づく代償は余りに大きく、自衛隊員が死傷した場合の反動も懸念される。 「米国の機嫌を損ねたら、日本の存立は脅かされる。だから、米国の要望には応じていくことになる」。外交・安全保障を担当する政府高官はこう言ってはばからない。閣議決定の中核は武力行使の三要件だ。この文言をめぐり、「歯止めはどうなのか」「丁寧な説明が求められる」などとメディアは喧伝した。だが、この高官の言葉を引けば、歯止めも丁寧な説明も何の意味も持たないことは明白だ。  安倍は内閣支持率の低下を止める狙いもあり、閣議決定に伴う自衛隊法改正案などの提出を来年春の統一地方選後の通常国会へ先送りした。この間、政府・・・