ペルシャ湾岸に浮かぶ小国カタールの犯した「世紀の犯罪」の正体がここにきて次々と明るみに出ている。もっとも、それが「犯罪」か否かについては異論もある。アラブ・イスラム教徒としての大義を実現し、また、抑圧された民衆を独裁体制から救おうとした真摯な取り組みではないか、と考える人もまだ相当数存在するからだ。 　しかし、カタールの直接の関与で引き起こされた中東の数々の迷惑な問題は、度を越して深刻な国際問題に発展している。イスラム原理主義組織「ハマス」を支援してはイスラエルとの対立が激化。停戦も成立せず、本稿執筆時で七百人を超える死者を出す「ガザ大虐殺」に発展したのは、もちろん加害行為を行ったイスラエルを責めるべきだが、裏でハマスの徹底抗戦姿勢を擁護し、戦争をけしかけた責任も大きい。また「アラブの春」以来のシリア反政府組織への肩入れはアルカーイダ系組織を利することとなり、イラク北西部に無法地帯「イスラム国家」の成立を招いた。 　エジプトでは、軍部のクーデター成功で大魚を逸したカタールだが、非合法化されたムスリム同胞団を支援する姿勢はいまだ変わっていない。そしてカダフィを追い落として莫・・・