奈落に沈むプーチンのロシア
撃墜事件で見せた「凶悪国家」の本性
2014年8月号
マレーシア航空MH一七便がウクライナ東部で地対空ミサイルによって撃墜された事件で、ロシアのプーチン大統領が、内外で坂を転げ落ちている。実力以上の軍事行動が、国家消滅につながったソ連時代との類似性を指摘する声も出始め、武力と抑圧で絶頂を味わった指導者は、突然の運命の暗転に打つ手を失っている。
プーチンの立場を端的に示すのが、「ロッカビー・ライン」という言葉だ。カダフィ大佐時代のリビアが一九八八年、パンナム機を英国ロッカビー上空で爆破した後、リビアは国際的ならず者になった。米欧外交関係者の間では、プーチンは越えてはならない一線を越えたとの見方が有力で、リンチで惨死した「中東の狂犬」と大差がない。
「今後は、国際舞台で『尊敬に値する指導者』を装うことはできない」と、クレムリン・ウオッチャーのマーク・ガレオッティ・ニューヨーク大学教授はブログで論じた。ロシアは「本質的に攻撃的で、破壊的で、混乱の源」(同教授)であることを、自ら露呈した。
プーチンは、苦境を理解した。叱られた子供のように、「悪いのはウクライナ」と責任転嫁を繰り返した。さらに、モスクワ時間の深夜に衝動的に電・・・