ガザ戦争で「独り勝ち」のイラン
「ワナ」にはまったイスラエルと米国
2014年8月号
イスラエルのガザ侵攻で、激動の中東に再び「アラブ対イスラエル」の対立軸がよみがえった。この事態を待ち望んでいたのは、スンニ派の包囲網にさらされていたイランだ。米欧との核交渉では早速、交渉期限の四カ月延長を勝ち取り、制裁緩和の実も獲得しつつある。米国とイスラエルはイランの仕掛けたワナにまんまとはまってしまった。
イスラム圏の同情と支持を得る
今回のガザ戦争が、どんな意味を持つかは、双方の宣伝戦で分かる。イスラエル、イスラム原理主義組織ハマス双方ともに、相手の「挑発」が原因と非難した。
米国のユダヤ人組織幹部、ダニエル・エルボームは「日本軍による真珠湾攻撃」と「(南北戦争の始まりとなった)サムター要塞の戦い」にたとえ、ルーズベルト大統領とリンカーン大統領に、「自制を求めることなどありえただろうか?」と問うた。一方、アラブ系メディアや評論家たちは、イスラエルの「過剰なパレスチナ人抑圧」が原因だと指摘した。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相の決断が、偉大な米大統領のそれと比べうるか否かはさておき、ガザ侵攻の背景にハマス武力の驚異的伸長があったのは間違いな・・・