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経済

「夜間取引」で迷走続く日本取引所

「世界の金融センター」など笑止千万

2014年8月号

 ここにきて、斉藤惇CEOが率いる日本取引所グループの迷走ぶりが際立っている。東京証券取引所、大阪証券取引所という東西取引所の統合実現には何とかこぎつけたものの、その後の戦略では「完全に失速」(証券業界関係者)。「世界の金融センターを目指す」という壮大な構想も急速に色褪せ始めた。  その象徴と言えるのが斉藤氏提唱による東証の「夜間取引開始問題」にほかならない。現在は十五時までとなっている現物株式取引について、夜間の取引時間帯を新設するという。 「十五時以降に決算発表などが相次ぐなかで、企業による情報開示を反映した株価がマザーマーケットの東証で行われないのは問題」  これが夜間取引開始に向けて、斉藤氏が当初語った「抱負」だった。確かに、日本企業の多くは東証の取引が終了してから決算発表などを行う傾向があり、東証としてはそんな開示情報を反映した取引は翌日まで待たねばならない状況にある。そこで、斉藤氏が一挙に実現とばかりに今年二月に設置したのが「現物市場の取引時間拡大に向けた研究会」だった。だが、同研究会の議論は設置直後から紛糾。「六月中とりまとめ」という予定は早々に崩れ、い・・・