イオンが滅ぼす「食品産業」
勝者なき「PB商品」乱造戦略
2014年8月号
日本最大の小売りグループであるイオン。この数年、イオン系列のスーパーの店頭の様子が激変した。イオンのプライベート・ブランド(PB)「トップバリュ」の商品群が棚の三分の一近くを占めるまでに拡大したからだ。お菓子、レトルト食品、パン、牛乳、豆腐、清涼飲料、野菜までありとあらゆる商品にトップバリュのロゴが付き、消費者にはおなじみのナショナル・ブランド(NB)や地元産の生鮮食料品などが少なくなった。その陰では多くの食品メーカーが泣いている。自社ブランドの商品を納入できなくなっただけでなく、自社商品と競合するトップバリュ商品を安値で作らされているからだ。
流通業界の唯我独尊企業の行動は、日本の食品産業を瀬戸際に追い込もうとしている。
優越的立場の濫用がPBの基盤
「作りますか? 作らなければお取引はもうなくなりますよ」。数年前、中堅の総菜系食品メーカーの社長はイオンのバイヤーからこう言われたという。このメーカーはその商品分野では二、三番手という位置づけだが、名前の通った定番商品を持ち、存在感のある企業で、大きなスーパーなら必ず商品が置かれていた。
・・・