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社会・文化

消滅自治体より深刻な「東京問題」

石井 吉春(北海道大学 公共政策大学院教授)

2014年7月号

 ―「消滅自治体」というキーワードが取り沙汰されています。

 石井 日本創成会議は、人口減少を自治体の問題に置き換えて警鐘を鳴らしたかったのだろう。今後、夕張のように財政破綻する自治体が出てくることはやむをえない。逆にしっかりとした経済活動基盤、たとえば収益性のある農業が機能している自治体はどんなに人口が減っても存続していくだろうし、実際そうした町村は北海道などに存在する。自治体の数が減ること自体は、それほど深刻な問題ではない。


 ―問題の本質はなんですか。

 石井 人口が減ることよりも、その流れに歯止めがかからないことだ。日本の人口は七、八千万人でいいという議論がある。この数字に個人的には共感するが、出生率や人口減少のスピードを考えた場合、適正な人口で減少が収束する可能性は低い。大きく割り込んでいけば、自治体どころではなく国として存続が危うくなる。これまでまともな少子化対策・・・