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社会・文化

問題だらけの「医療事故調」制度

訴訟急増で弁護士が「丸儲け」

2014年7月号

 六月十八日に成立した医療・介護総合推進法により、来年十月を目処に、医療事故調査制度が始まることが決まった。  診療行為に関連して患者が予期せずに死亡した場合、医療機関の長は、第三者機関へ届け出て、院内で事故調査を行うことが義務づけられる。その調査結果は第三者機関と遺族に伝えられ、もし遺族が納得しなければ、第三者機関に再調査を依頼することも可能だ。  これまで医療事故が起こっても、我が国には真相解明の制度がないため、患者・遺族は誰に何を求めればいいか不明であった。この制度ができれば、申し立てする機関が明確になり、一見すると、弱者救済の観点に立っているようだ。  ところが、専門家の間では、この法律を額面通りに受け取る者は少ない。医療業界紙の記者は「事故調制度は患者のためにはならないだろう。こんな制度ができれば、医療崩壊はますます加速する」と憤る。 「萎縮医療が進むだろう」  一体、制度のどこに問題があるのか。医療政策を研究する大学教授は、「厚労官僚の権限拡大と、医療専門の弁護士たちの金儲けのための制度」と断言する。  この教授が問題視する・・・