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政治

《罪深きはこの官僚》御田俊一郎(原子力規制庁 企画調査官)

フクシマを反省せぬ「全国民の敵」

2014年7月号

「世界で最も厳しい審査基準をクリアした原発を再稼働させる」

 安倍晋三首相のこの公約が、早くも空文化しそうだ。安全性を軽視して闇雲に再稼働を狙う旧来の原子力ムラに官僚が加担している。

 原子力規制委員会は三月に、九州電力の川内原子力発電所1・2号機の新規制基準適合性審査を優先的に進めることを決めた。

 なぜ九電は優先審査を獲得できたのか。電力各社は地震発生時の最大級の揺れを想定した「基準地震動」の見直しに消極的だった。しかし九電は横紙破りをするように基準地震動の見直しに動いた。

 基準地震動を引き上げると原発の耐震強度を上げなければならないため、電力会社はできるだけ低く抑えたい。しかし九電は突如、基準地震動を五百四十ガルから六百二十ガルに自主的に引き上げた。規制委員会に恭順の姿勢を見せることで早期再稼働を狙ったのだ。

 しかし、この引き上げの計算根拠に重大な疑義が存在する。川内原発に関する文書を入手した川内博史前衆議院議員(民主党)が語る。

「基準地震動の・・・