見かけ倒しの安倍「アジア外交」
「中国包囲網」好機を逃し続ける
2014年7月号
安倍晋三首相のアジア外交に、ほころびが見え始めている。
政権に返り咲いて一年足らずで東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国全てを訪問した安倍は、「アジア重視」に名を借りた「中国包囲網」を構築したはずだった。しかし、南シナ海でベトナム船に体当たりを食らわし、日本の自衛隊機に対する異常接近を繰り返す中国の挑発的な行動のエスカレートに対し、日本と東南アジア諸国は不満や批判は口にしても、有効な対抗策はとれずにいる。連携が進まない背景には、安倍が東南アジア諸国に約束してきたことが遅々として実行されない現状への各国のいらだちがある。
援助が逆効果に
五月二十八日の衆院予算委員会。安倍は、ベトナムに対して検討を表明し、フィリピンについては正式に決定済みとなっている巡視船の供与の遅れを認めた。
「中古(の海上保安庁巡視船)について、ベトナムからもフィリピンからもすぐにほしいという話があったが、海上保安庁は警備の責任が大変に重くなっていて、更新時期を迎えたものをすぐに退役させる状況にはない。検討はしたけれど、そこはなかなか難しい」
ベトナム側の巡視船供・・・