農協改革「茶番劇」の舞台裏
見事骨抜きにされた「全中解体」
2014年7月号
安倍晋三政権は、「日本再興戦略」の改訂版(新成長戦略)を六月二十四日に閣議決定し、目玉の一つに「農協改革」を位置付けた。首相は「六十年ぶりの抜本改革であり、単なる看板の書き換えに終わることは決してない」と繰り返し、農協を既得権益のシンボルにして「岩盤規制を打ち破る」と意欲を示したが、全国農業協同組合中央会(JA全中)は自民党農林族と組んでしぶとく抵抗を続けている。
自民党内に対立構造を作り「抵抗勢力」を追い込む手口は、小泉純一郎政権が仕掛けた「郵政改革」そっくりだ。安倍首相の真の狙いはどこにあるのか。それは、二〇〇七年の参議院選挙で自民党が大敗した理由を考えると見えてくる。
この選挙では、農村票の影響力が強い一人区で自民党が完敗、第一次安倍政権は退陣に追い込まれた。しかも〇九年に発足した鳩山由紀夫政権下で、JAは「政治的中立」を誓い民主党政権と「和解」した。安倍首相としては農村に裏切られたという怨念がある。政権を奪還した今度こそ、JAをねじ伏せて二度と裏切ることがないよう、自民党に忠実な集票マシーンに改造する必要があると考えているのだろう。
「廃止」が消えたホテルの密議・・・