温暖化で激変する「世界食糧地図」
南北格差と紛争の新たな「火種」
2014年7月号
地球温暖化は巨大竜巻の発生や恒常化した干魃、さらには海水面の上昇による南太平洋の島の水没危機などすでに様々な気候変動の様相を示し始めている。しかし、京都議定書に代わる新たな国際的な対策の合意にはほど遠いまま、大気中の二酸化炭素濃度は四百ppm前後に達した。気候変動はコメ、小麦など食糧生産にも及び、今世紀末には飢餓発生の予測も出始めた。
だが、今、温暖化を悪用しようという農民、企業、土地業者が出現しているのだ。
フランスとスペインの国境に沿って走るピレネー山脈。最高峰のアネート山はじめ三千メートル級の峰が連なる。スキーリゾートくらいしか使い道がないとみられていた山岳地帯の地価がこの数年、上昇している。別荘地やリゾート開発のためではない。買っているのはスペイン、フランスのワイン生産者たちだからだ。
ピレネー山脈のスペイン側のトレンプ地区などは標高六百~八百メートルの南向き斜面にピノノワール種、シャルドネ種などのブドウ畑が広がり、すでにワイン産地になっている。だが、さらに標高の高い一千二百メートルの場所までブドウ畑が広がろうとしており、ワイン生産者はより標高の高い土・・・