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死に体オバマが励む「遺産作り」

歴史に名を残すため「内政」に邁進

2014年7月号

 オバマ米大統領が、二年半に迫った残りの任期で「大統領令(政令)」による統治に邁進している。共和党が下院を握り、十一月の中間選挙ではさらに上院制覇も視野に入れる中で、自分の政権の「遺産作り」に入ったのだ。米政治の分極化をさらに進めるのみならず、議会の支持がないままの改革は、尻すぼみに終わる危険もある。 議会バイパスの大統領令統治  オバマ大統領が最近、公式の場で話す時、自己弁護をしないのはまれだ。五月末の陸軍士官学校の卒業式では、「米国が海外に軍事介入をしない理由」を延々と並べた。少し前まで「最高司令官(コマンダー・イン・チーフ)」をもじって「最高演説官」と称えられた雄弁家が、今では「最高自己弁護官」と揶揄される。  大統領が生気を取り戻すのは、内政を語る時だ。カリフォルニア大学アーバイン校卒業式では、六月初旬に発表した地球温暖化対策に触れ、「(温暖化が)手遅れにならないうちに、行動する意思があるか否かが問われている」と語った。  胸を張ったのも当然だ。議会に諮らず、政令で決めたからである。オバマは、電力部門の二酸化炭素(CO²)排出量を・・・