「輝けるインドが二十一世紀をインドの世紀にするだろう！」 　第十五代インド首相に決まったインド人民党（ＢＪＰ）のナレンドラ・モディ氏は、熱狂が渦巻く地元グジャラート州での勝利演説で高らかに叫んだ。五月に行われたインド総選挙でＢＪＰが五百四十三議席中二百八十二議席を獲得するという地滑り的圧勝で十年ぶりに政権を奪取、また三十年ぶりとなる単独与党政権が誕生した。左派連立政権による駆け引きによって政治が動かないことが常態化している同国では、「小さな政府」を掲げ、ポピュリズムに屈せず構造改革を進めようとする新たな政権の誕生は、朗報にほかならない。だが、その「強い政権」でも解決しがたい難題があり、「モディノミクス」という巨大な絵を実現するには、混乱と準備不足ばかりが目立っている。 「壮大なごちゃまぜだ」 「眠らないニューデリー：モディチーム、朝六時から夜中までの過酷」 　こんな見出しが現地紙に載った。「朝六時に起床、七時から八時まで電話をし、九時までには仕事を始め、夜中まで仕事をこなす」というのが仕事中毒で知られるモディの一日だが、関係者や閣僚もこれを同様にこ・・・