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経済

中東危機が招く「日米同時株安」

「原油高騰」にほくそ笑む投機筋

2014年7月号

「今の原油価格は、ニューヨークじゃなくて、ロンドンの北海ブレントを見ないとね。今回のイラク危機では、一バレル百五十ドルまで上がってもおかしくない」  シェール革命によって中東原油への依存度が下がったとはいえ、イラクの緊迫が増せば、欧州市場は敏感に反応する。そうなれば、たとえ米国が石油の戦略備蓄を放出したところで、原油価格の上昇は止められない。世界経済と株式市場への悪影響も不可避である。目ざといヘッジファンドのマネジャーは、原油高騰と日米株式市場の同時株安でひと儲けを狙うポジションを、すでにとりはじめているという。  主力ヘッジファンドの多くは、今年に入ってからも運用成績が不振で、六月現在、一〇%を超えるマイナスを抱える。年初段階で「株安・金利高」と読んでいたにもかかわらず、株も債券も想定を裏切ったからだ。「株価がここまで新値を更新すると予測していた向きは少なかった。特に債券は、利回りが二%台前半にとどまるとは考えもしなかった」と振り返る。  十一月の決算までに負けを取り返さねばならない投機筋にとって、中東危機はまさに渡りに船というわけだ。 「NYダウは一千ドル以上下げ」・・・